手掌多汗症あるある
- 紙がすぐに濡れてべちゃべちゃになる
- ゲームをすると水溜りができる
- 握手・拍手ができない
- iPhoneの指紋認証できない
- 服がすぐダメになる
- つり革から手汗が滴り座ってる人にぎょっとされる
手掌多汗症には少ししめるぐらいの軽いレベルから、水溜りができるほどの酷いレベルがあり、皆一様に同じ量の汗が出るわけではありません。芸能人では水嶋ヒロさんや福山雅治さんも手掌多汗症だと言われていますが、私は手掌多汗症で悩んでいる人を見てこう思うのです。
「なぜ薬や電気を使い続けて汗を抑えようとするのか。手術をしてしまえば根治する(完全に治る)のに」と。
当ブログでは私が受けた手術の体験談をご紹介します。
手術跡、術後の経過
わき腹とわきを切開した後の傷痕です。
比較対象がないのでわかりにくいですが、1cmぐらいです。
傷口の痛みですが、私は左の脇下が特に痛み、腕を上げるのがしんどいのが長く続きました。
さらに肺を縮めて手術をするので、術後は肺が呼吸するたびに骨に当たってかなり苦しかったです。歩くのも食事するのも大変でしたが、一晩寝て起きたら痛みはなくなりました。
手汗足汗脇汗、止まる
手が多汗の方は足の裏も多汗の方がほとんどだそうです。私も多分に漏れませんでした。
わかりにくいですが、手術前の足汗。ゲームをすれば下には水溜りができていました。
そして、手掌多汗症の手術の後は、なぜか足の汗も少なくなる人が多いそうです。原因は不明とのこと。
私の場合ですが、手汗足汗脇汗全てが完全に止まりました。「手がカサカサする/乾燥する」という感覚を初めて経験しました。
手汗が出ていた人の手汗が止まる、というのはどういう感覚なのか。
手が熱くなるのは以前通りなるのです。「あ、手汗が出そう」というあの感覚自体はあるのに、その後汗が出ないのです。
それから、手術後の飲酒はしない方がいいです。お酒を飲むと、血の巡りがよくなってしまい、傷口から出血する恐れがあるとのこと。激しい運動も控えた方がいいです。重い物も持たないように。どれも切開したばかりの傷口が開いてしまう原因となります。
【画像】手術後、変わったこと
紙がすぐに濡れてべちゃべちゃにならない
職業柄、どうしても紙との接触が多いのですが、これが長年苦痛でした。プリントを学生に配布する時から事務作業中まで全ての紙材質のものはべちゃべちゃです。今までよくやったものです。
寝そべって本を読むと、紙はべしゃべしゃになることに加え、手汗が顔面に滴ってきます。
ゲームができる
Switchをやれば、コントローラーのスティックがつるつる滑ります。手はどこに置いても下がべちゃべちゃになるので、タオルやビニール袋必須です。
ちなみに手術前、コントローラーは黄色いのが2,3か月で壊れ、次に買ったピンクのコントローラーは1か月でAボタンが効かなくなりました。
友達とゲームをする時は、コントローラーを回してプレイできます。
機械系で言うと、パソコンも故障を防ぐため、常にパソコンの隣にミニ扇風機を置いていました。
握手・拍手ができる
職業柄、外国人との接触が多いのですが、この時避けられないのが握手です。もう何度嫌な顔をされたこと。それだけならまだマシです。はっきりと「気持ちわるっ、なにそれ。濡れてるよ、気持ちわる」と言われたこともあります。
拍手をしても手のひらの汗が破裂、飛び散らなくなりました。
手相占いもできます。
フォークダンスだって踊れます。
青春真っ只中の人はきっとこれら全てができないので、毎日もやもやしていると思います。さっさと手術をしてしまった方がいいでしょう。
指紋認証できる
iPhoneの指紋認証ができるようになりました。普段は指紋認証は切っていて(どうせ反応しないから)ずっと番号でロック画面を解除していたのですが、これでようやく解除が一瞬でできます。
服が助かる
手掌多汗症の人はポケットに手を入れ続けることができません。ズボンが濡れて、臭くなるし、すぐにダメになってしまうから。ポケットに入れなくても服の袖口はすぐ黄ばみ、白いシャツなんかは黒くなります。
さらに、手汗を少しでも緩和しようと私達は服をすぐに脱ぎたがりますが、脱いだ服も手首より手前に持たないといけません。濡れるから。
↑どこへ行ってもこんな変な持ち方になるし、しっかり手で持っているわけではないので、どんどんずり落ちて、結局濡れた手で抱え上げるのです。
これからはそもそも着脱の必要もなくなりますし、仮に持っても平気です。
つり革から手汗が滴らない
電車から降りて写真を撮るとこんな感じです。
こんな手でつり革につかまれば、下に座っている人の膝に汗が滴り落ちるのも時間の問題です。これでようやく安心して電車に乗れます。
足が臭くなくなる
これまで足臭がきつく、働いている時でも足元から激臭が登ってきていたほどですが、術後、それが一切なくなりました。
これはまったくの、嬉しい誤算でした。
汗が止まるだけで、「かゆい」「くさい」「冷え性」がなくなるのです。冷え性は足から常に汗が出ているのでいつも足が冷たかったのですが、これも治まりました。
まとめ
生まれ変わった気分です。10万円前後(高額医療費制度で実際に支払ったのは5万)で人生が変わるのです。美容整形する人の気持ち、した人の気持ちに近いのではないでしょうか。通常手術というと何か悪いイメージを持つものですが、こんなに手術日を待ち焦がれる人は手掌多汗症の人ぐらいです。
ただ、なくなってから気づいたのですが、少し寂しい気持ちもあります。確かにヤツは私を何十年も苦しめてきた憎き相手です。しかし、ずっと一緒にいたのです。母親や友達、恋人よりも、ずっとずっと一緒に。もうあの濡れた手に会えないのかと思うと……
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最高の気分です
手掌多汗症で悩んでいる人は絶対に手術を受けるべきです。一人でも多くの仲間が救われますように願っています。私は後悔なんかひとつもありません。本当にあの青春時代を損した気分です。
【随時更新】術後経過時系列
- 手術日当日:4箇所の手術跡が痛む。呼吸が難しいほどの胸の痛みがある。手汗・足汗は完全に止まっている
- 術後1日目:手術跡が痛む。胸の痛みは多少緩和される
- 術後2日目:手術跡が痛む。胸の痛みはほとんどなくなる
- 術後3日目:手術跡が少し痛む
- 術後4日目:手術跡の痛みは左わき以外はほとんどなくなる。手汗と足汗が出始める
以前の汗を10とするなら、2程度の汗の量。紙が少ししめる程度。少し焦ったが、医者が「術後1カ月は汗が出るがそのうち収まる」と言っていたのを思い出し、落ち着く
- 術後10日目:左わきの痛みが一向になくならない。しこりのような感じが残り、左腕を上げると脇が痛いし、上げなくてもたまに痛い。特に服がすれて痛いので、ゆったりした服を着たい。4日目の突然出た汗はまた出なくなり、完全に止まった。
- 術後17日目:左わきの痛みがなくなる。しこりもとれて、左腕を上げても痛くない。4日目の突然出た汗は出なくなったまま。
- 術後2カ月目:痛みは完全になくなった。手汗も全く出ない。しかし、足の汗は対戦ゲームをしている時に限り出る。仕事中は以前よりは断然出なくなったので、仕事後、靴を脱いでも臭いはほとんどない。
- 術後8カ月目:手汗は依然止まったまま。一滴も出ない。しこりもない。どこも痛くない。しかし、足汗の量は激減したものの、出はする。
- 術後1年目:足汗の量が術前と同じに戻った。手汗は止まったまま。
- 術後2年目:足汗の量は相変わらず術前と同じ。手汗は夏になると多少出るが、紙も普通に扱えるし、なんら気にならない程度。むしろ夏は発汗で体温調整するので、多少発汗してくれた方がありがたいぐらい。
手掌多汗症の治療の歴史
手汗が酷い人の割合は100人に1人だそうです。正直疑わしい数字だと思いましたが、実は私の周りにもたくさんいて、皆必死に隠しているのだと考えれば妥当な数かもしれません。
手掌多汗症は何千年も前から病気として認知されていたそうで、悩んでいる方は多かったとのこと。
これまでも様々な治療法、かなり軽度であれば塩化アルミニウムの塗布のみで済ませる人も多かったのです。そして、脇のところを切り開いて行う手術もあったそうで、それは命がけの手術だったそうです。
そういった手術はもちろん傷口が大きかったのですが、内視鏡手術(ETS)の登場で傷跡が1cmに、さらにそこからどんどん技術が進み数mmにまで傷口が小さくなりました。
代償性発汗
代償性発汗とは、手の汗など、局部的な制汗手術を行ったことで、代わりに別の場所から発汗が増えることをいいます。主に胸や足のもも、頭頂部といった箇所です。しかし、これを私は勘違いしていました。例えば、
- 手汗が酷いAさん
- 手汗が少ないBさん
がいたとします。Aさんは手汗が酷いので、術後の代償性発汗が酷く、Bさんは手汗が少ないので代償も小さい、といったことはないのです。これは私が勘違いしていたことです。
代償性発汗が起こる確率は2%で、本当にまれに起こる症状なのだそうです。それを防ぐために現在、交感神経(起きている時に働く神経、副交感神経は寝ている時やリラックスしている時に働く神経)の3番目と4番目のどちらかのみを切断する試みが行われているそうですが、あまりいい結果は出ていないそうです。昔は2番目も切っていましたが、「2番目は切らなくても汗止まるんじゃね?」ということで今は2番目は切除しなくなったそうです。
ちなみに、現在は3番目と4番目の神経を焼き切る手術が主流となっています。私もそうでした。
手術に行く前に確認しておくこと
まず説明と検査(合わせて3時間ぐらいかかるもの)を受けるための予約に1ヶ月強、手術日の予約に1ヶ月強かかります。つまり、思い立ってから最低でも2カ月近くはかかるということです。
- 検査のための予約をする
- 説明と検査を受ける(説明後に手術日の予約をする)
- 手術(10分程度の簡単なもの)
- 即日退院可
流れとしてはこんな感じです。
東京都国民健康保険限度額適用認定証
このような紙をもらいに行くと、ぐっと費用が安くなります。取り方は簡単、
- 区役所に行く
- 国民健康保険課に行く
- 待つ
- 交付
国民健康保険課はあまり人がおらず、待ち時間は0分でした。会社勤めの人でなければ、是非取りましょう。
手術日当日または前日までにやること
- サプリメントを飲んでいるなら手術日1週間前から飲まないように。
- 前日の23時からは絶食。
- 手術当日の数時間前からは飲水も禁止。
- お酒やたばこも禁止。
都内だとどこの病院がいいのか
都内だと四ツ谷か渋谷が検索結果のトップに来るかと思いますが、渋谷のはやめたほうがいいです。電話対応でもうこれはダメだなとわかるほどです。
電話受付といえば店の顔です。その顔が
私「すみません。手掌多汗症の予約をしたいのですが」
受付の男「どぞー(沈黙)」
この有様です。文字では伝わらないギャル男感というか、チャラい感じ、不親切で、何の案内もない、「ほら、お前が電話したんだからさっさと話せよ」という感じでもう電話を切りたくなりましたが、頑張って話を続けました。しかし、以降もその調子で、私の大事な神経を切ってもらう病院としてはその対応は看過できませんでした。
渋谷という立地なので、こういうノリの方がいいのかもしれませんが、私のような中年はあの対応だけで十分警戒心と懐疑心を植え付けてくれました。