『弟の夫』レビュー┃「さようなら」の使い方

映画レビュー

2018年5月4日、NHKで『弟の夫』という映画?ドラマ?を見ました。とてもおもしろかったので、感想を書きたくなりました。

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『弟の夫』とは

ゲイアートの巨匠、田亀源五郎、初の一般誌連載作品。弥一と夏菜、父娘二人暮らしの家に、マイクと名乗る男がカナダからやって来た。マイクは、弥一の双子の弟の結婚相手だった。「パパに双子の弟がいたの?」「男同士で結婚って出来るの?」。幼い夏菜は突如現れたカナダ人の“おじさん”に大興奮。弥一と、“弟の夫”マイクの物語が始まる――。
Amazonの商品紹介から引用

以下、内容について詳しく書きます。ネタバレも含むので、未読、未視聴の方はまずは作品をご覧ください。

役者:役名

佐藤隆太:折口弥一(主人公。ゲイの弟を亡くしている。ゲイに抵抗あり)
佐藤隆太:双子の弟(佐藤さんが一人二役)
把瑠都 :弥一の弟の結婚相手で、ゲイ
根本真陽:折口弥一の娘
中村ゆり:平田夏樹(弥一と離婚していて、たまに娘と三人で会っている)

見ながらTwitterで実況を眺めていたのですが、把瑠都(バルト)さんは元大関だそうです。普通に俳優さんかと思ってみていました。それぐらい上手な演技でした。
それから娘さんの演技たるや。引き込まれる感情の起こし方。

作中で気になったこと

Amazonの商品紹介そのままの内容で、どんでん返しや驚くような展開はありません。自分がゲイであることについて悩んでいる男の子がマイクを訪れたり、主人公、弥一の弟の友達との再会、弥一の娘の担任とのやり取りなど、様々な人を通して、同性愛について考えさせられる作品です。最後はマイクの両親が日本に訪れ、夏菜と再会できて、ハッピーエンドとなります。
極端に悲しい描写などはないので、そういうのが苦手な人にも安心しておすすめできます。

私が作中で特に気に入ったのが「さようなら」の使い方です。ずっと気になっていました。登場人物が何かと「さようなら」を言うのです。

しかし、たぶんこんなに「さようなら」を気にして観ている人は私ぐらいでしょう。なぜ私がこんなにも「さようなら」が気になったのか、それは私が勤務していた日本語学校である出来事があったからです。

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S:「さようなら」と言わないでください。

以前、授業後にこんなことがありました。クラスには男子学生が一人、私に日本語について質問していました。質問が終わり、私(T)がその学生(S)に「さようなら」と言いました。

T:わかった?
S:はい、ありがとうございました
T:はい。じゃさようなら
S:・・・・・・
T:どうしたの?
S:先生、「さようなら」はなんか寂しいです。言わないでください

その学生は中国人で、中国語には「ザイチェン(再見)」という言葉で別れを告げます。英語にも「see you again/soon」などがあります。日本語にも「じゃ、また(明日)」などがありますが、初級のクセでなんとなく「さようなら」と言っていた私。そして、それを聞いて悲しくなった学生にそれを指摘されたのでした。

T:そうだね。ごめん。じゃ、また明日
S:はい!また明日!

ずいぶん前のこと、小さな出来事、だけどいまだに覚えている授業後のワンシーンです。

3話目で納得

NHKの放送では3話構成でした。1話、2話と「さようなら」を多く感じ、もやもやしながら観ていた私は3話目に納得しました。
マイクが主人公(弥一)の娘である夏菜ちゃんに「see you again」という英語を教えるのです。「ずっと会えないわけじゃない。また会おう」と教えてあげます(だったと思います)。

勝手な私の想像なのですが、作中で「また明日」「じゃあね」がなかった、もしくは使用を控えていたのは、最後のこのシーンに重みを持たせるためだったのだと、作者の意図を勝手に解釈しました。真意はわかりませんが、そういうことだと私は思いました。

日本の現状

以前、LGBTについて授業した時の投稿にも留学生の反応と共に書きましたが、日本では、そして世界的にも依然、同性愛に拒否反応を示す人が多いようです。特に先進国であるはずの日本ではまだかなりの数がいます。

少しずつではありますが、改善されています。この『弟の夫』のような題材の作品がさらに世に広まって、LGBT後進国の日本にも理解が広まればと思います。誰を好きになるのか、それは自由であるべきです。

 

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