日本語教師が観る『メッセージ(英題:arrival)』┃言語学習の基礎

映画レビュー

学習者に「先生、arrivalを知っていますか」と聞かれました。「知らない」と答えると、「先生は日本語教師で、言語に興味がありますよね。だったら絶対にこの映画、arrivalをおすすめします。内容は言語学の先生がエイリアンと話すために頑張る映画で、よく映画であるエイリアンとの戦いはありません」

言語学の、先生が、エイリアンと、話す?レッスンが終わってすぐにgoogle playで視聴しました。邦題は『メッセージ』です。

ストーリーの考察やラストについてなどは他の方々がされているので、私は言語教師としての視点からこの映画の感想を書いてみようと思います。

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『メッセージ(英題:arrival)』とは

<あらすじ>
大学の言語学者である主人公のルイーズは政府に、突如地球に表れたエイリアン対策チームの一人として招集された。
ルイーズの任務は、「地球外生命体との意思疎通」。言語学の知識を駆使し、何の手がかりもないエイリアンと意思疎通を目指す。

<出演>
ルイーズ・バンクス:エイミー・アダムス(中村千絵)
イアン・ドネリー:ジェレミー・レナー(加瀬康之)
ウェバー大佐:フォレスト・ウィテカー(立木文彦)

 

以下、内容について詳しく書きます。ネタバレも一部含むので、未視聴の方はまずは作品をご覧ください。

映画 『メッセージ』 予告編

 

話の流れ

邂逅

エイリアンの宇宙船?に乗り込む対策チーム、中ではイカのようなタコのような生物に出会う。そこから言語の解析が進んでいきます。

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まずはHUMANという言葉を見せながら自分を指してこう言います。

「私は人間。あなたは?」

日本語学習者に教える時も、英語を勉強する時も、そして地球外生命体と意思疎通を図ろうとする時でさえ、やはり自己紹介から始まるのだなと感心しました。

日本語学習者は毎学期自己紹介を新しいクラスでするので(だから私は学期始めに自己紹介はさせません)、結構うんざりしています。

「もう自己紹介はいいです。できます」

と言います。しかし、自己紹介といっても、色々な自己紹介があります。

  1. 皆の前でする自己紹介

共通の言葉

ルイーズは「食べる」と「歩く」という言葉を教えることを上司に告げます。

What is your purpose on Earth?

という文を質問するためです。なぜ「地球へ来た目的は何?」を聞くのに、「食べる」などが必要なのか。
まず、エイリアンにpurposeが意志的か本能的なのかを聞く必要があり、それを聞くにはさらに先に共通の言語を増やす必要があるとのこと。

なるほど、その通りです。日本語を勉強する時は、語彙を増やします。教師が身振り手振りで動詞や形容詞を教えます。

ラスト

主人公はエイリアンの言語を獲得することで、未来や過去といった時間の”流れ”から解放されます。

もし言語に時制というものがなくなったら、言語の獲得がどれだけ楽になるかとは思いますが、いつのことを述べているのかわからないのは煩雑です。しかし、その考え自体が時間の流れの中で生きている私達の限界なのでしょう。

言語についてだけでなく、映画としても哲学的で考えさせられる素晴らしい作品でした。

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